ネットフリックスが広告動画付きのリーズナブルなプランをスタートしました。これまで右肩上がりで伸びていたユーザー数が2022年夏の段階で半年連続で減っていて、新たなニーズを掘り起こすために安いプランを作ったようです。
SNSではこのニュースに対して「広告動画付きで映画を見るなんて、TVと同じじゃないか」と、このプランは理解できないというコメントをたくさん見かけました。
私も映画が大好きでネットフリックスを契約していて、いつも映画を見るときは部屋をまっくらにして集中して鑑賞するのでこの気持ちはよくわかります。
誰が買うんだ?と思ったら客観的に考える
ただし、これは誰が買うんだ?と感じるとき、それを感じたあなたはターゲットではないことがほとんどです。自分の感覚を他の人も持っているとは限らないわけです。
世界を牽引するネットフリックスがニーズのないところにリソースは割きません。では、今回の無料プランのターゲットはどんな人なのか考えてみます。
映画の途中でCMが入っても気にならないにも関わらず、サブスクで月々出費をしてまで、それなりに本数を観る人はどんな人でしょうか?
ターゲットは誰か?
私の仮説は、コンテンツを情報として捉える忙しい若手ではないかと思います。
最近の若い世代を中心にタイムパフォーマンスを意識する人が増えている傾向があります。(書籍:映画を早送りで観る人たち)音楽をかけるように動画コンテンツを流して、何かをしながら流し見で見る人が増えているようです。全てのシーンを集中してみるわけでもなく、飛ばしてよくわからなかったら、Wikipediaで検索をしてあらすじを確認して情報を補完します。コンテンツを楽しむというよりは、周りとの会話を合わせるためにコンテンツの内容を確認することを目的にしています。この場合、合間でCMが入ってもさほど気になりません。
あるサービスが出た時に、使う使わないはもちろん個人の自由です。ただ、会社に置き換えると、自分の感覚だけで会社の重要な意思決定をするのはNGです。今後は、全く自分の感覚とは異なる世代がメインターゲットになる時代です。Z世代マーケティングの書籍が書店をにぎわしていますが、自分とは異なる存在を想像することは仕事をする上で重要です。
私も最近Z世代向けの書籍を意識的に読むようにしていますが、まったく自分の感覚と違うことが多々あって、「こうやって自分もおっさん化していくんだな、、、」と悲しくなります。
マーケット感覚を養う訓練
何か自分には全然合わないサービスが出た時にそのサービスを使う人のことを想像してみるのはいい訓練になります。今回のネットフリックスの新プランを考えるにあたって、ネットフリックスの優秀なマーケッター達が入念なマーケット調査をしているはずです。アンケートを実施したり、トライアル版を作ってテストをしたり、色んな顧客層にインタビューをするなど労力をかけていると思います。
もし、あなたが会社の重要な場面で意思決定をする際に、自分の価値観の中だけで決めないことが大切です。ほっとくと自分の価値観は知らず知らずのうちに、閉じたものになりがちです。以前、ビジネススクールでも講師を務めているATカーニー代表の関灘さんのセミナーに参加した際に、関灘さんが幅広い視点を養うためにNHKの72時間を意識して見ていると言っていました。72時間は私も大好きで録画して見るのですが、普段は接することのないような色んな人の生の声が聞けます。「こういう人もいるんだ」と想像する力を養えますのでおすすめです。
まとめ
今日はネットフリックスの広告戦略から、視野を広げる重要性についてお話しました。私の解釈ですので実際のターゲットは全然違う可能性もあります。是非、こんな人がターゲットだと思うと感じた方はコメントいただけると嬉しいです。