日本バスケット協会の2021年度決算が約2億円の赤字というニュースがありました。2021年と言うと、東京オリンピックで女子バスケットボールが銀メダルを獲得した年でもあり、これだけの赤字に膨らんだことに驚いた方も多いのではないでしょうか?
今日はスポーツビジネスから、組織の在り方について考えていきます。
スポーツチームは経営が苦手?
私もスポーツ観戦が好きなんですが、試合の結果やすごいプレーなどは注目していますが、その試合でいくら儲かったか?とか、経済的にどんな効果があったか?は考えたことがありません。
実は、スポーツビジネスの世界ではしばしば経営が苦手という指摘があります。
元々選手として活躍していた人が監督となり、監督が協会の権力のあるポジションにつくという、勝利史上主義になりやすい環境かもしれません。
バスケットボール協会のトップはどんな人?
ではどんな方がバスケットボール協会のトップなのでしょうか?チェアマンのプロフィールを見ますと、2020年から現職についている方で、起業の経験とバスケットボールチームを率いた経験豊富な方でした。2021年度決算の直前に就任された方なので、念のためその前のチェアマンも確認すると、銀行出身でスポーツリーグの運営したこともあるこちらも経験豊富な方でした。
経営とスポーツビジネスの経験が豊富なトップが率いていたという印象があります。
次に、そもそも赤字体質だったかどうかを知るために、決算書を確認しますと、19年度から3年続けて赤字が続いていることが分かります。ただし、赤字が続く前の18年度は4億円の黒字、19年度は1500万円の赤字と、21年度の6億円の赤字が頭一つ抜きん出ていることが分かります。21年度は元々、東京オリンピック開催での費用も見込んで4000万円の赤字予定ではありましたが、どんな想定外があったのでしょうか。
赤字の理由
いくつか記事を読みますと、出費の面では「海外チームを呼んで強化試合を行うにしても、外部との接触を遮断する“バブル空間”を宿泊先でつくる必要があったり、移動時のチャーター便など、コロナ禍で想定外の出費が重なった」「海外から帰国後の代表選手の隔離期間が国内リーグに与える影響などを考慮し、当初予定がなかった男女のワールドカップ(W杯)予選を日本で実施した。こうした大会での新型コロナ対策経費がかさんだこと」と関係者は説明しています。
確かにコントロールできない想定外の費用が発生したことが分かります。
ただし、本当に想定外で済まして良いのかは疑問です。特に、気になったのは、組織文化とそれに紐づいた意思決定プロセスについてです。
スポーツ界は昔から目の前の勝利にばかり目が行ってしまい、現場の意見が強くなり過ぎてしまうことで、ビジネスとして成り立たせる力が弱いと指摘されてきました。本当にどうあがいても発生する想定外の出費であれば仕方ないのですが、今回、銀メダルという素晴らしい結果の裏に、過度な出費がなかったのか?についてはぜひ振替っていただきたいと思います。そして仮に過度な出費があった場合、その意思決定プロセスもセットで追求していただきたいです。
勝利のため、と言う言葉にとらわれて、会場費や設備などさまざまな場面で無駄な出費をしていないかを精査する必要があります。勝利にこだわる、のはもちろん大切ですが、過度にとらわれて全体最適な目線を忘れないようにしたいです。
現場がパワーをもちやすい構造であればなおさら、現場で力を持つ人間は自らを顧みる必要があります。
ビジネスの現場に置き換えると・・・
これは、スポーツビジネスに限らず、ビジネスの現場でも発生しうると思います。なんとなく組織文化に合致した合理的でない意思決定がされたり、声の大きい人の意見が通ってしまうのは典型例だと思います。
また、「顧客のため」という言葉にとらわれて、過度に細かいことばかりに目が向いてしまうこともあります。日々、意思決定をする中で合理的な判断ができているか?は常に気を配る必要があります。
まとめ
今日は、スポーツビジネスの話から組織文化や全体最適の視点について考えました。あなたの行動は、こだわりなのか?とらわれなのか?をしっかり考えた上で、より良い意思決定をしてもらえればと思います。