仕事を任せるとはどういうことか?

最近、会社がホワイトすぎて逆に優秀な若手が辞めるというニュースをよく聞きます。

企業側は時代に合わせてブラック企業から脱却するために様々な工夫をしているにも関わらず「能力アップしたいのに簡単な仕事ばかりで全然成長できない」「やりがいがもっと欲しい」などの理由で、優秀で成長意欲のある若手社員から辞めていきます。

私も最近は自分で手を動かす仕事から一緒に働く仲間に手を動かしてもらう場面が増え、誰に何をどうお願いしながら仕事を進めるか考える機会が増えたこともあり、他人事とは思えないニュースです。

仕事を任せるのは難しい

自分のこれまでの社会人経験に照らし合わせても、何かを任せてもらえた時に、成長実感や組織への貢献感を得ることができることから「もっと任せてよ」と内心思っていました。

しかし、いざ何かを任せる立場になるとその難しさが分かります。

誰に何をどこまで任せるかということは、任せる相手のことを理解し、組織課題の優先順位を把握し、フォローするための自分の稼働調整も必要となり実は難易度が高い営みだからです。

今回は仕事を任せる時に意識したいポイントについて、私自身も試行錯誤中の身ではありますが考えていきます。

仕事のポートフォリオをどう組むか?

個人的にはシンプルですが次の二つの軸を使って考えるのが分かりやすいと考えています。

  • 横軸 その仕事が完了する期間を長期(3か月以上)と短期で整理
  • 縦軸 その仕事のどの範囲を任せるかを全体と一部で整理

一番難易度が高く、信頼も必要な仕事は右上の「長期×全体」の象限になります。
数か月から年単位におよぶプロジェクトのいわゆるプロジェクトリーダーを任せる場合などはこれに該当します。

最も難易度が低い仕事は左下の「短期×一部」の象限になります。
明日のチームMtgで使うデータのうちの一部を整理する作業などはこれに該当します。

どの象限の仕事においても、上とか下があるわけではなく、重要な仕事に変わりはありませんが、仕事を任せる側は各メンバーがどんな仕事の球を持っているかを把握した上で依頼する必要があります。

そしてリーダーはメンバーの手持ちの仕事の中で、長期×短期と全体×部分の各象限の仕事のポートフォリオをうまく組み合わせてあげることで、最初にあったホワイト過ぎて人が辞めることを食い止めることができます。

短期の作業ばかりの仕事だと成長実感や組織貢献感を得られません。だからと言って、新入社員に対して重要なプロジェクトのプロジェクトリーダーを任せるのも勇気がいります。

どんな仕事から任せるべきか?

メンバーに対して全体の仕事を任せるか迷った時は、短期の仕事の全体を任せてみるところからスタートするのが良いと個人的には考えています。仮に失敗したとしても、短期間でリーダーがリカバリーできるため思い切って任せることができるためです。

段々と信頼感が高まるとプロジェクトリーダー的な長期の仕事を取りまとめる役割を任せていくわけですが、ここで大事なことはどの仕事であっても任せた側は任せた仕事がきちんと進んでいるか確認をする責任があるということです。

信頼できるメンバーに任せたから後は大丈夫だろうと何も確認をしないのは信頼ではなく丸投げです。できるメンバーほど丸投げしてしまいがちですが、こういう無責任な状態が続くと、成長実感が少なくなり組織への信頼が下がり離職へとつながる危険性が高まります。

ここまでは任せる側の話をしましたが、任された側も仕事の報告責任はあります。

その際に、どんな頻度でどれくらい細かく報告するかを、依頼主の特性を踏まえて行動する必要があります。とにかくスピード重視の人や、しっかり週一でMtgの時間をとって確認したい人などそれぞれです。

任せると言ったのにいちいち進捗確認してきてうざいと感じる人もいるかもしれませんが、ある意味上司は責任をまっとうしようとしています。相手に合わせたコミュニケーションスタイルを意識したいものです。

メンバーが自分の城を持つために

話は変わりますが、最近個人的にテーマにしていることの一つに”メンバー全員が自分の城を持つこと”があります。

小さな仕事でも良いので、その仕事と言えば私ですと言える仕事が一つでもあると、能動的な動きにつながり、さらに能力アップ、成果が出て、結果的に充実した時間を過ごせることにつながると考えているためです。

メンバーに城を持たせるためには、リーダーが仕事を創り、勇気を持ってメンバーに任せる度量、いざとなったらフォローできる体制の3つが必要だと思います。

私が進めてきた音声メディアの立ち上げプロジェクトを例に3つのポイントについてお伝えします。

私が音声メディアで配信をスタートするきっかけは、役員からの「音声メディアってどう思う?」の一言でした。

入社二か月の右も左も分からない私に大きな枠組みで任せてくれたことだけでもとても勇気がいることだと今なら分かりますが、さらにすごいなと思うのは要所で発揮する強烈なリーダーシップです。

夜な夜な企画を練り上げて、いざサービスをスタートするぞという少し前に役員からサービス告知方法についてコメントをもらいます。

甘いと言えばそれまでなのですが、配信するコンテンツの中身ばかりに目が行ってしまい、配信スタートをどのように告知するか詳細まで練られていませんでした。

役員はそれが分かった瞬間に凄まじい勢いで告知方法を一緒に整理し関係各所の指示・調整をし、ニュースリリースから顧客へのメルマガ告知などあっという間に対応してくれました。

直接聞いてはいないので分かりませんが、自分でリカバリーできる範囲までは我慢して任せつつ、それを超えたらしっかりと自分でも指示を出してフォローする意図があったと思います。

これは決して、仕事を丸投げして、終盤にリーダーが仕事も全部引き取ってしまうこととは違います。定期的にフォローし一緒に議論してプロジェクトを進めつつも、いざとなったら自分でもフォローするスタイルを自分でも見習いたいなと思います。

まとめ

というわけで、今回は仕事の任せ方について考えました。

長期×短期、全体×一部の軸、自分の城を持つために仕事を創る、任せる、いざとなったらフォローするという姿勢は一緒に働くメンバーにとっても嬉しいことですし、何よりメンバーが成長すればリーダーである自分自身が一番助かります。

短期的に見ると骨が折れる営みですが、長期的には合理的な動きだと思います。

仕事を任せる際の参考になると嬉しいです。

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