2022年の夏の甲子園は仙台育英高校の優勝で幕を閉じました。東北勢初の優勝ということもあり、ニュースでも連日取り上げられていましたが、中でも優勝後の監督インタビューが話題になっています。高校球児はもちろん、大人に対しても刺さるインタビューでした。
インタビュアーが「今年の3年生は入学した時から、新型コロナウイルスの感染に翻弄されてきました。それを乗り越えての優勝。3年生にどんな言葉をかけたいですか。」という質問に対しての言葉です。少し長いのですがご紹介します。
「入学どころか、たぶんおそらく中学校の卒業式もちゃんとできなくて。高校生活っていうのは、僕たち大人が過ごしてきた高校生活とは全く違うんです。青春って、すごく密なので。でもそういうことは全部ダメだ、ダメだと言われて。活動してても、どこかでストップがかかって、どこかでいつも止まってしまうような苦しい中で。でも本当にあきらめないでやってくれたこと、でもそれをさせてくれたのは僕たちだけじゃなくて、全国の高校生のみんなが本当にやってくれて。
例えば、今日の下関国際さんもそうですけど、大阪桐蔭さんとか、そういう目標になるチームがあったから、どんなときでも、あきらめないで暗い中でも走っていけたので。本当に、すべての高校生の努力のたまものが、ただただ最後、僕たちがここに立ったというだけなので、ぜひ全国の高校生に拍手してもらえたらなと思います。」
聞き手を想像する
自分のチームや地域だけでなく、全ての高校球児のことを想った内容であると同時に、あらゆる大人に対して、今の子ども達の状況をより想像させる強いメッセージでもあると感じました。
定量化するのは不粋な気もしますが、Twitterではトレンドになり、youtubeの再生回数も100万回を超えており、多くのひとに感動を与えています。
ではなぜ、ここまで反響を呼んだのでしょうか。
もちろん、監督の語彙力・表現力・スピーチ力もありますが、私は監督の幅広い視点で物事を多面的に見つめる想定力にあるのではないかと思います。
常に監督が、他のチームに対してもリスペクトを忘れず、想いを馳せている。さらに、コロナ禍で青春を謳歌できなかった学生達を想い、謳歌し終わった大人達まで、メッセージを届ける相手として想定していたと思います。
あらゆる場面で想定力は重要です。
人事面接で何を見ているかにも通ずる
少し話は変わって私の学生時代の就職活動の話になるのですが、最終面接を担当した人事部のリーダーの方と、面接では何を見ているのか?を聞いたところ「想定している幅の広さ」とおっしゃっていました。良い仕事ができるかは想定力と言うわけです。
私は学生時代にバンド活動をしていており、就活でもバンドの話ばかりしていたのですが、言われてみると、心地よい音色を響かせるために音響のプロの方に教わったり、音楽イベントを企画する際には、自分たちのバンド以外のパフォーマーを誰にするかなど、イベントに参加した顧客のことを細部まで考えていたことを思い出しました。
仕事を進める際に、”もれなくだぶりなく”で考えることが重要と言いますが、便利な言葉「その他」を使えば簡単にもれなくだぶりなくで考えることができます。ただ、大事なことは安易にその他を使うのではなく、真摯に想定する幅を広げ、目に見えない部分まで具体的に思いをはせることだと気づかされました。
まとめ
今回は仙台育英高校監督のインタビューから想定力について考えました。いきなり細部から幅広く考えることは大変かと思いますので、人前で話す際や複数名に対してテキストで連絡するふとした際に、「これを見ている人は誰か?自分とは違う視点を持っていないか?」想いをはせるのも良いかもしれません。少しずつ想定力を身に着ける、そんなきっかけになればと思います。