リカレント教育という言葉を聞いたことがある人も多いと思います。ほぼ毎日何かしらのニュースで聞くほど流行っているようです。リカレントとは繰り返すという意味で、社会人の学びなおしという意味です。流行している背景として、人生100年時代なのでずっと同じ仕事をし続けるのではなく、合間合間でしっかり学んで自分をアップデートさせながら二毛作三毛作でキャリアを形成する生き方が浸透していることがあります（参考図書 ライフ・シフト）。流行にのって、多くの人が学び始めているので、非常に良いことだとは思うのですが、学び始めた人にこそ注意していただきたいことがあります。私自身、立場上、ビジネススクールで学ぶ方とお話する機会が多いので、その経験から、真面目に学ぶ人ほど陥る罠について3つお伝えします。
本当に起こる手段と目的のすり替え
１つ目は、「学んだことを活用するためのキャリア形成を考える」です。
一見悪くないのでは？と感じた人もいると思います。学んだことを、実務でもたくさん使いたいと考えるのは当然の心理ですし、せっかく学んだんだから、活用しないのはもったいないと考えるわけです。実は、ビジネススクールで学んだ方も「せっかく経営を学んだんだから、経営コンサルタントに転職しよう」とか「起業をしよう」と考える人はいます。ただ、能力開発した内容を活かすためにキャリアを考えてうまくいった人はほとんどいません。元々、何か目的があって学びを選択したはずなのに、学んだことを活かすために将来を考えるのはまさに手段と目的が入れ替わってしまっている典型例かと思います。思わずそんな考えがよぎった時は「そもそも何でこの能力を高めようと思ったのか？」「長期目線に立った時に、どんなキャリアステップを歩むべきか？」と問いかけてみてください。
平身低頭で学び続ける
２つ目は「学んでいない人のことを馬鹿にしてしまう」です。
そんなことはしないと思うのですが、案外無意識のうちにこの思想に陥ってしまいます。私がMBAを勉強していた時にクラス中に講師から言われて大事にしている言葉があります。それは「MBAバカになるな」です。どれだけ勉強をして、どれだけ優れた戦略をたてたとしても、周りが動いてくれなければ何もできません。俺はこんなに頑張っている、周りは愚かであると考えていると、言葉にしなくとも周りは感じ取って、誰もついて来てくれないんだとおもいます。そもそも能力開発ができる環境にいることは恵まれているので、贅沢をさせてもらっていると謙虚な姿勢で学びたいものです。これは自分にも言い聞かせたい教訓です。
常にアップデートすべき理由
３つ目は「学んだ内容に固執する」です。
いくら頑張って学んだことでも、時代の変化が早いのですぐに陳腐化してしまうこともあります。コロナ前の話になりますが、プログラマーとして活躍している友人が、3か月のプログラム講習を日本で受けた後に、別のとあるプログラム関連の講習を受けるために、会社を一週間休んでヨーロッパまでいっていました。なぜわざわざ会社を休んでまで、そして海外まで学ぶのかと聞いたところ「常にアップデートし続けないと3年後には食えなくなる」と言っていました。ここまで極端な例は少ないかもしれませんが、あまり学んだ内容に固執しすぎない方が良いと思います。落語家の世界では、「あの人はいつみても変わらず面白いね」と言われる落語家は日々訓練を怠らず成長し、「あの人最近腕が落ちたね」と言われる人は現状維持の範囲で努力していると言われています。恐らくビジネスでも現像維持なんてものはなくて、衰退か成長しかないのだと思います。少しずつでも良いので日々成長する必要があります。
まとめ
今日は、勉強し始めた人が陥る罠について考えました。「学んだことを活用するためのキャリア形成を考える」「学んでいない人のことを馬鹿にする」「学んだ内容に固執する」聞くと自分はそんなことはしないとも思うのですが、案外意識しないとはまってしまうものです。この記事を読んで下さっているあなたも恐らく何かを学んでいる、もしくは学びを検討されている方かと思います。学びを成果につなげるためにも、意識していただけると嬉しいです。
