今日は学ぶメリットについて考えます。学び直し、リスキリングといった言葉を見ない日はないくらい、最近は学ぶことに対して世間の関心が高まっています。
ただ、学ぶことに対してハードルを感じたり億劫な気持ちになる人も多いのではないでしょうか?
その理由の一つに、学ぶ=学生時代の試験勉強を思い出させるからというのがあると思います。学生時代は、興味のない領域の勉強を定期テストで良い点をとるために無理やり覚えるのだから面白くないのは当然です。テストで高得点を取ることを目的にすると学びはつまらないものになります。
もう少しワクワクするかつ活用できるイメージを持ちたいものです。個人的に最近考えるのは、学ぶこと=コミュニケーションを楽にしてくれて、結果幅広い方とスピーディーに仲良くなる事ができる点に最もメリットがあると感じるようになりました。
読書の効用
分かりやすい学びとして読書は非常に役立ちます。
ミーティングの進め方の読書を例にとります。
仕事で多くの割合を占めるミーティングを効率的に進めたい人は多いです。参加者のミーティングの進め方の前提が揃っているとかなりスムーズです。
私の働く部門では全社員の必読書として「会議の教科書」を読んでいることを前提としてミーティングが進みます。なのである程度フォーマットが決まっていて、何ができればそのミーティングは終わってOKなのか?その後のアクションは誰がいつするのか?など、おさえるべきポイントを参加者が理解していることからスピーディに仕事を進めることができます。
落合陽一さんの書籍「忘れる読書」にも同じ書籍を読んでいる人と対話をするときに、「〇〇の本のことですね」という一言だけですべてを説明せずとも、情報を圧縮してお互いの前提をすり合わせることができると記載がありました。
もしメンバーと前提認識を合わせたい時は、読書会をお勧めします。私も社内のSNSプロジェクトを進める時に、全員で同じ本を読み、どう進めるかの前提を揃えることでチーム発足当時から円滑に連携ができました。読書会自体は時間もかかりますが、その後のコミュニケーションが楽になるので、ぜひ取り入れてみてください。
なぜ新入社員研修があるのか?
また同じ研修プログラムを受けるというのもコミュニケーションが楽になる典型例です。
例えば、PDCAという言葉を知らない人に対してPDCAを教えるのは少し手間がかかります。大企業の中にはPDCAを使った新入社員研修を行うことで、考える素地を作るとともに、PDCAという概念の理解と実際に使う経験を積ませることでコミュニケーションを楽にしてい企業もたくさんあります。
私が勤務するビジネススクールのメンバーの多くがクリティカル・シンキングのクラスを受講しますが、それによって論理的な課題解決のStepを皆が理解するので、色んなやりとりがスムーズになります。
”この課題のイシューってなんだっけ?””その発言の根拠は?””枠組みは?”と言ったワードをただ知っているだけでなく、どこでどう使うかを知っているため円滑なコミュニケーションができます。
よくクリティカル・シンキングを学んだ受講生が、社内でも浸透させるために、社内で勉強会を開催しています。その際はそのまま学んだ言葉を使わずに、自社にチューニングしてイシューは何を考えるべきか?という言葉に変換してメンバーの前提を合わせています。
自己紹介で商品ではなくエリアを確認するのはなぜか?
また、少しハードルは高いですがMBAを学ぶとどうなるかについても、ちょうど以前コミュニケーションが楽になった場面があったので共有します。
以前お伝えしした、事業承継者の会という全国の事業継承に関わる経営者の方が集まる場での出来事です。
私は叔父が印刷業を営んでおり、その会社の相談役をしていることもあり、印刷業に携わる人と繋がりたいなと思っていました。
そこで何名かの印刷業の方とお話しさせていただく機会があったんですが、まずお互いの第一声は「どのエリアでですか?」と決まっています。
これはなぜかと言うと、印刷業界の構造にあります。紙の印刷物は値段の割にかなり重量が重たいので、輸送費がかかります。いくら大企業でも全てのエリアに印刷物を運ぶことは効率が悪いので、1社が独占するということはできず、中小企業も各地にまばらに点在しています。つまり、同じような印刷物を取り扱っていてもエリアが違えば競合にはならないのです。だからこそ、最初はエリアを質問し、競合かどうかを確認しているのです。
エリアが違う場合は連携することも十分にありえます。事実、その時にある会社の専務の方と意気投合し、今度社長と共に工場を見学をさせてもらうことも決まりました。
競合だから連携は難しいという考えではせっかくのビジネスチャンスを逃すことにもつながります。
何かしらビジネスの基本は押さえておくと便利です。
まとめ
というわけで今日は、学ぶことはコミュニケーションを楽にしてくれるものというお話をしました。もし学ぶことに抵抗がある方は、新しい世界の人と仲良くなるための手段と捉えるのはいかがでしょうか?学ぶことは実際は苦しいものではなく、ワクワクして楽しむものだと思います。人生100年時代、どちらにせよ学ばなければならない時代です。楽しみながら学ぶヒントになれば幸いです。