キャリア選択をする際の心構えについて考えます。人生色んな局面で自分でキャリアを選択する場面が訪れます。就職活動や転職活動、昇進試験のようなわかりやすいキャリアの分岐点もあれば、順当に同じ部署で役職が上がっていく、そんなパターンもあります。そんな時、あなたはどんなことを意識して、新たな仕事に臨みますか?
ドキッとした問いかけ
以前、ビジネススクールで講師をされている方の問いかけが、キャリア選択の際に非常に参考になる内容だったので紹介します。
ある、部長職でこれから役員になるという受講生に対して「あなたは経営者になり、何を得て、そして何を失いますか?」という問いです。
経営者になることで、ポジションパワーを得て色んな意思決定ができ、視座や視野、人脈や経営者だからこそのやりがいなど色んなことを得られるイメージを持つ人も多いです。しかし、同時にこれまで腹を割って話してくれた社員との距離が遠くなる、そもそも社員が本音で話してくれない、今まで自分で手を動かすことでやりがいを感じられた時間がなくなるなど、実は多くのことを失います。今回の問いは、そこまでイメージを持って経営者になる覚悟はあるか?というメッセージだと私は捉えました。
この問いは、経営者だけに通ずるわけではありません。キャリア選択のあらゆる場面で有効な問いになります。
あらゆる場面で意識すべきこと
転職のように、あきらかに環境が変わる場面では「給料は下がるがやりがいが手に入る」「忙しくなるがその分能力開発ができる」といったように、この問いがなくても、何を失うかを自然に意識しやすいです。
一方で、エスカレーター的に役職が上がっていき、大きく職場の環境は変わっていないが、自分の本来とるべき行動が変わっている場合、特にこの問いは有効です。
あなたの周りにも、役職が上がっているにも関わらず、これまでと変わらない働き方をして、本来の役目を果たせていない人はいませんか?いわゆるプレイングマネージャーとか、行き過ぎたマイクロマネジメントをしてしまう方がこれにあたります。
これまでの仕事を手放すことなく新しい仕事をすることは難しいです。どれだけ自分が得意な作業でも、どれだけ自分が思い入れを持った施策でも、意識的に手放す勇気が必要なのかもしれません。
海外には、本人の成果ではなく、部下の成果で評価される企業も多くあります。
結果的に、自分の仕事を人に任せ、浮いた時間で新たな領域にチャレンジすることが組織全体の付加価値を上げます。
何かを得るだけでなく、捨てる意識を持つことも重要です。
まとめ
「何を得て、何を失うか?」という問いかけから、キャリア選択時の心構えについて話をしました。失うというよりも、任せるというニュアンスが強いかもしれません。信頼感と覚悟を持って人に任せることで、結果的にあなたらしいキャリアを歩める、そんなきっかけになれば幸いです。