今回は、新しい提案をする際に意識することをテーマにお伝えします。AIの技術革新によって人間にしかできない価値を出さないといけない、だからこそ自分ならではのチャレンジをするぞと、前向きに考える人も多いです。ただ、自分なりに考えた提案が中々上司に承認してもらなかったり、そもそも企画をする際に何から考えて良いのか分からないという人も多いです。
私はよく一緒に働く仲間から同様の相談を受けることがあります。私自身も新たな提案がスムーズにできる人に話を聞いたり、本を読んだりしてトライアンドエラーを繰り返している身ではあるのですが、うまく提案が通った案件に共通項が見えました。今日は、そんな共通項の中から2つ、ポイントをお伝えします。
アイデアだけでなくPDCAが回る仕組みまで準備
一つ目は、今より良さそうなアイデアとそのアイデアが良いと証明するためのチェック項目を準備するです。
誰でも自分が頑張って考えたアイデアは素晴らしいと心底思っていますし、それを周りのメンバーにも伝えたいと考えています。しかし、新しい提案を実行するときに、これまでのやり方を大事にする派閥から反対を受けたり、そもそも新しい方法を覚えるのは面倒という理由だけで反対されるということも大いにあり得ます。
人間は基本的に現状維持したい生き物です。新しい提案が感覚的に良さそうでも、粗を探してこれまでと同じ施策を続けたい衝動に駆られてしまいます。
そこで、まずは仮でも良いので試しにやってみることを提案します。相手も納得しやすいですし、そもそも正解かどうかは企画者本人含めて誰にもわかりません。そこで、施策を仮から正式に導入するために、どうなればその施策が良いと言えるのか事前に認識合わせをすることもセットで考える必要があります。
例えば、これまでと違う営業パンフレットを導入したい場合に、100社訪問したときの受注率で見るのか、提案率で見るのか、はたまた定量データではなく顧客へのヒアリングといった定性情報で見るのかなど、その施策と紐づいた項目でチェックする必要があります。これをすることで、効果があるかないか分からない施策を続けるという無駄もなくなります。
論より証拠
2つ目は明らかにその課題に取り組むべきと言うファクトデータを準備することです。
提案するときに絶対に避けたい事態として、「なぜその施策に検討の時間をかける必要があるの?」という問いに答えられずに施策ごとおじゃんになることがあります。
例えば、チーム全体の顧客訪問時のトーク力に課題を感じていたとして、勉強会の開催やQA集のブラッシュアップを施策アイデアとして考えていたとします。訪問時のトーク力アップ自体は組織としてプラスですが、優先順位が高いかと言われれば、それは組織の状況によって異なります。
ここで重要になるのは分解という考え方です。
今回は、顧客訪問時というプロセスに課題に感じているので、仮に営業前、訪問中、訪問後のプロセスに分解してそれぞれのフェーズで問題がなかったかなるべく定量的なファクト情報を集めます。この際に、よくありがちなのが、外部要因にばかり目がいくことです。コロナの影響で数字が下がったと一言で片付けてしまうのは簡単ですが、もうwithコロナの時代になり3年が経とうとしています。基本的には内部要因に目を向けて分析を行うことが大切です。例えば全体の施策は変えてないにも関わらず訪問して提案してからの受注率が下がっているファクトを見つけることで、そこにチーム側の課題意識の目を向けることができます。案外、最近リリースしたAというサービスをごり押ししすぎている等の内部要因が見つかります。
よく分析が苦手という人で、エクセルスキルを磨こうと考える人がいますが、個人的にエクセルは四則演算とピポット機能が使えればかなりのことができると考えています。大事なことは論理的に物事を分解して構造的に捉える力で、これができれば筋の良い分析に繋がるはずです。
まとめ
今回は企画を提案するときに意識したいポイントについてお伝えしました。アイデアとセットでチェック項目を準備する、内部要因に目を向けてファクトデータを取りに行くの二つを意識していただければと思います。企画と言うと何かアイデア勝負みたいなイメージを持ちますが、一つの斬新なアイデアだけでその企画は成功することはまずありえません。施策を進めるために最も重要なことは思考力です。「最低限持っておきたい3つのポータブルスキル」も意識して、楽しく自分らしい企画ができることを願っています。