書評『経営を教える会社の経営』

今回は、おすすめの書籍をご紹介します。

「経営を教える会社の経営」という、私が勤務しているグロービスでマネージングディレクターをしている内田圭亮さんの著書になります。

内容は経営を教えているグロービスの社内の文化や制度をお伝えしています。

事業の成功だけでなく「働きがいのある会社ベストカンパニー」に10年連続で選ばれるなど嬉しい内容も記載しているのですが、あまり、自分のいる会社の良いところばかりをお伝えするのは良くないと思いますので冷静に読み解いた内容をお伝えしたいなと思います。

私の前職は従業員が数万人、グループも合わせると数十万人いるような大企業で、そこから1000名程度の規模のグロービスへの転職ということもあり、転職当時は色んなカルチャーショックを受けたことを本書を読んで思い出していました。

前職との違いとして、役員同士のミーティングの議事録が全社員向けのwaigayaメーリスで共有されたり、Voicyで配信をスタートする時も入社2か月の当時の私の拙いプレゼンでGoが決まったり、社内で自主的な読書会などの勉強会がいたるところで行われていたりとたくさんありました。

どれもユニークで有意義な取組だとは思うのですが、単純にこれらのアクションを実施することが良い結果につながるかと言われれば怪しいです。全体の整合性を考えた上で具体的なHowを考えないとうまくいかないです。

グロービス経営の肝となる3つのキーワード

本書では全体の整合性を考える上で次の三つのキーワードがありました。

  • 個の爆発
  • 性善説
  • 自由と自己責任


まず、個の爆発はそれぞれ働くメンバーが生き生きと働き能力を最大限発揮することを意味しています。

変化の激しい時代に経営者が一人で素晴らしい戦略を練ったとしても、個人個人が自発的に戦略に即したアクションを素早く実施しなければうまくいかないことから、個の爆発が発生するために仕組みを整えています。

前提として、働くメンバー全員が邪な思いを持っていない性善説を置いています。

また、自由と自己責任が根底にあり、ハートフルなコミュニケーションなどグロービスが大事にしている考え方に沿った行動であれば自由にアクションをとっても良いが結果に対しては自己責任という考え方が根底にあります。

この爆発を目的に、性善説、自由と自己責任をベースに採用、育成、評価、仕組みを構築し結果として文化が育っていると本書では紹介しています。

例えば採用であれば、スキルだけでなくビジョンへの共感もかなり慎重に判断します。

私も転職面接の時に感じたのは通常転職の面接は1回か2回なのに対して4回あったことに驚きました。

これは自由と自己責任という考え方の元で自発的に動いてもらうためにしっかりと確認をしています。

ビジョンへの共感がないと誤った方向にアクションしてしまう危険性やモチベーションの低下につながるためかなり採用にも力を入れています。

また人事部が主導で採用を行うのではなくあくまでも採用責任も部門が持っており、必要な人数や要件など部門が提示しあくまでも人事部はそれらをサポートする機能を担っています。

育成は色んな育成制度を用意しており各々自由に制度を活用したり、意思決定を円滑にするために部門長、チームリーダー、メンバーの3階層しかなかったり全て個の爆発のために設計がされています。

結果として、リーダーからの声掛けは「どうしたいの?」であったり「楽しんでる?」といった個人のやりたいことが実現できているのかを確認するような内容が多くなり、それが結果として文化として根付いていくとだと思います。

本書の活用方法

本書の活用の仕方としては、そのまま真似をするというよりは、自社との差分を明らかにすることに活用するのが良いと思います。伸びしろがないかの確認だけでなく、むしろ自社とは根本的に考え方が異なる部分を把握することであらためて自社らしさへの理解につながると考えています。

本書では他にも評価の方法やそもそも著者の内田さんが大事にしている幸福経営の考え方なども載っておりますのでよろしければ手に取ってみていただけると嬉しいです。

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