最強のプレゼンとは?

今回は最強のプレゼンに必要な要素について考えます。社会人になると、色んな場面でプレゼンテーションをする機会があります。営業担当者であればお客様に対して、研究職や技術系社員であっても上司やチームメンバーに対して行います。プレゼンと聞くと、パワーポイントで資料を作って、複数人の前で説明をするイメージがありますが、資料がなくても、相手が先輩や上司でなく同僚や後輩の場合もプレゼンです。何かを相手に伝える行為=プレゼンの機会とも言えます。

これだけ日常的に行うプレゼンですが、以前、息子とのやりとりの中で、これはある意味で最強のプレゼンだなと思う出来事がありました。2歳の息子は散歩が大好きなのですが、まだ拙い言葉で話すのが精いっぱいです。ある冬の日曜日の朝、家でごろごろしたかった私なのですが、息子から言われた一言で飛び起きて散歩に連れて行ってしまいました。その一言が「歩くの大好き」でした。もちろんパワーポイントもなければ、きちんとした言葉でもないですが、この一言に外は寒くて何もしたくなかった私が突き動かされました。同じことをそのままビジネスの現場で使えないですが、この一言にプレゼンの極意が詰まっていると感じました。今日はこの言葉からプレゼンテーションの必要な要素として、気づいた点を3つお伝えします。

意思があること

一つ目は、相手をどの方向に動かしたいかという目的がはっきりしていることです。息子は散歩に行くという目的がはっきりしている中で、今回の言葉を選びました。プレゼンテーションで目的がはっきしているのは当たり前と思うかもしれませんが、意外とこの当たり前をできていないことが多いです。

よく社内の会議で、データをまとめて、「〇〇の数値が下がっています」とだけ伝える場面に遭遇しませんか。まさにこれは、状況を伝えているだけで、そこからどう感じ、どう相手を動かしたいのかが分からず、むしろその後の行動を相手に委ねてしまっていると言えます。私の勤務しているビジネススクールではこれを実況中継しているだけという表現を使いますが、それだけだと不十分です。

最近はテクノロジーの進化によって、すぐに定量的に課題箇所を特定するのが簡単になりました。実況中継をするだけで価値を出せる時代ではなくなってきた今こそ、自分の意志を明確にすることが大切です。

無駄なく持てる武器を最大限活用

二つ目は無駄なく自分の持てる武器を最大限発揮している点です。息子は絵や文字を書くこともできないですし、もちろんパワーポイントも作れません。散歩という単語も知らないからこそ、知っているギリギリの単語を組合わせて、一言の無駄なく”歩くの大好きプレゼン”をしたわけです。

持てる武器を最大限発揮するということと、無駄がないという点はプレゼンで本当に大事です。目的に照らし合わせた時に、最大限必要な情報は満たされているか?むしろ無駄な情報はないか?を考え続ける必要があります。

メンバーの資料作成のサポートをしていると、この両者の観点をバランスよく入れるのは難しいことだとつくづく思います。自分の行った分析にこだわって他に必要な観点を見落としたり、不安になって気づくと文字いっぱいのスライドになってしまったりします。

個人的にパワーポイント作りのおすすめは、ぎりぎりまで資料作成しないことです。ホワイトボードでも白い紙でもなんでも良いので、最初はキーメッセージだけを手書きで書いて、そのストーリーで相手は動きそうか?を考えます。これを事前にすると、情報の過不足が見えたり、スライドの順番を柔軟に変更することができます。

状況把握

三つ目は、相手と自分の関係性を把握しているという点です。私は息子にかなり甘いので、基本的になんでも言うことを聞いてしまうのですが、息子もそれをわかっています。誰にでも、歩くの大好きというわけではなく、人を選んで言っている点に感心してしまいました。

ビジネスシーンでもこれは大事な観点です。よく新入社員で別の部署に対して説明するときにやりがちなのが、前提条件を揃えるのを怠るということです。私も前職の新入社員時代に、他部署の方に説明を行う場面があったのですが、そもそも私の持っている課題意識を相手が理解していなかったり、ひどい時は自分の部署でしか使わない単語を使っていました。

ようするに客観的に見るということですが、これが案外難しいです。一番良いのは上司や先輩、他チームのメンバーに見てもらうことですが、どうしてもその時間が事前に取れない時は、他部署の〇〇さん目線で自分なりに見るしかありません。簡単な方法ですが、先ほどお伝えしたキーメッセージの骨組みを眺めながら「〇〇さんならなんて言うかな?」をぼそぼそ呟いてみると意外と抜けている観点に気づくことがあるのでおすすめです。

まとめ

今日は息子の言葉から、プレゼンテーションに必要な要素をお伝えしました。目的がはっきしていること、無駄なく自分の強みを生かしていること、関係性を把握していることの三つを意識いただけると嬉しいです。

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