日本の生産性が低いと言われ続けて、長い期間経っています。2021年の調査によると、主要先進国の7カ国と比較して日本は最下位、アメリカのわずか60%程度の生産性とも言われています。
日本の生産性が低い理由
日本の生産性が低い理由は多岐にわたりますが、個人的に最も重要なのはビジネスパーソン一人一人の思考方法のアップデートではないかと考えています。
忖度という言葉が流行語になるように、日本人は人を慮る気持ちが行きすぎて、言い換えると人に気遣いをし過ぎて、本来取るべきリーダーシップを取れない場面が多いです。
普段の仕事の中でも、昔からやっているやり方を尊重し過ぎたり、他部署に迷惑をかけることを極度に避けた結果、ずるずると生産性の低い時間を過ごしている、もしくは目の当たりにしたという人も多いのではないでしょうか?
そんな状況を少しでも改善するための思考法として、今日は費用対効果思考を紹介します。
考え方をシンプルにした費用対効果思考
そもそも生産性は、分子にアウトプット=仕事での成果物、分母にインプット=時間やお金という式で表すことができます。
費用対効果思考とは全てをお金換算した上で費用対効果で良いものは実行する、悪いものはやめるか改善策を考えるというものです。
例えば、定例ミーティングの場面を考えます。参加者が10人で毎週1時間の会議をしていたとします。参加者それぞれの給料は違いますが、保険料など諸々含めて平均の時給を5000円とすると、それだけで毎月20万円費用がかかります。
仮に一つ1000円の商材をたくさん売るための会議だった場合、その会議のおかげで毎月200個以上はたくさん売れないと生産性としてはマイナスなわけです。
※実際には生産性がある程度プラスになるべきですが、生産性の低い会議があるのも創造はしやすいと思います、、、
この考え方は、日常の買い物でも活用できます。例えば、ドラム式洗濯機を例に取ります。種類にもよりますが、20万円ほどする非常に高価な買い物です。ただ、費用対効果で考えると、2日に一回の洗濯物を干す時間を10分短縮できたとするとそれだけで年間30時間の削減になります。自分の時給と掛け合わせると案外2年くらいで元が取れることもあります。
長期と短期で考える
ここで大事なことは、費用対効果を考える際に、意識的に長期と短期で分けて考えるという点です。
例えば最近はSDGSの重要性が叫ばれていることから、特に大企業は環境に配慮してビジネスを進める必要があります。短期的に見ると、環境に配慮してエコな施策を進めるのはお金がかかってしまいますが、そこをケアしないとブランド毀損につながり、長期的に大きなマイナスにつながる可能性もあります。
定量化が難しい場合もたくさんありますが、そこは頭を捻って、無理矢理でも定量化することが大切です。自分のチームは定量化をしていては時間がかかるので、スピード感を持って定性情報だけで突っ走ることを美徳とする人もいますが、定量化の努力を怠っていては、判断ミスにもつながります。
例えばアメリカのとある製造業の会社では、どうしても工場で人身事故が起こる可能性をゼロにはできないことから、最悪事故が起きた場合の費用を試算した上で意思決定をするそうです。
日本だと、万が一のことがあってはいけないと、思考停止してしまい、その意思決定をしないことが少なくありません。もちろん、安全面に最大限配慮することを怠ってはそれこそ長期的に費用対効果の悪い意思決定になるため注意が必要ですが、こんなドライな考え方ができると、シンプルに物事を捉えることができ、重要な意思決定の場面で力を発揮します。
まとめ
今日は費用対効果思考について考えました。あなたの会社でも、顧客のためになることは苦労を厭わずなんでもするんだ!と生産性の低いアクションにがんじがらめになっていませんか?
私の組織でも以前捨てる会議という名前で、思い切ってこれまでやっていた仕事を片っ端からなくそうと議論したところ40個ほどアイデアがあがり、一つ一つ丁寧に検証することで業務のスリム化を進めることができました。
冷静に定量化することで、もっと良い施策が思いつくかもしれません。参考になると嬉しいです。