転職を考える前に

転職を考える前に押さえたいポイントをお伝えします。

数年前に比べると転職が一般的になっていると感じる人は多いと思います。終身雇用は終わりを迎えて、新入社員の40%が転職を考えた上で入社をしているというデータもあるようです。
つい先日も私の勤めているビジネススクールの若手の受講生から「新しいことができない組織で、自分のしっかり考えたアイディアが通らない。転職を考えている」と相談がありました。

もちろん、やりたいことを実現するための転職はありだと思います。しかし、転職活動を考える前に少し冷静になって現状把握をしてほしいと感じる場面が少なくありません。
転職は、会社を変えることで実は得るものもありますが失うものも多いです。今の会社で、自分の希望が可能のなら、部署異動によってやりたいことを叶えた方が近道です。社内人脈や給与、福利厚生など、あって当たり前と思っていたものが転職によって失う場合もあります。

現状把握できているか

ここでいきなり質問ですが、皆さんの会社は、全部でいくつ事業展開をしていて、それぞれどんな人材が求められているでしょうか?ベンチャーの立ち上げ期など、少ないプロダクトの場合はシンプルに解答できますが、大企業になれば事業の数を把握することすら難しいです。
もし、会社の中にいくつか事業がある時は、それぞれの事業の関係性を大まかで良いので整理しておくと良いです。この際、プロダクトポートフォリオというフレームワークが役に立ちます。

縦軸に市場の成長性、横軸にその業界での自社のシェアをとります。四つの象限で、稼ぎ頭なのか、まだまだこれからの事業なのか、撤退を考えるフェーズなのかなどが可視化できます。あなたの部門はどの象限に入りますか?例えば、市場の成長性は低いがシェアを取れているような稼ぎ頭の部署の場合に、ここがこけると会社的にまずいという位置づけになるので、あまり冒険的な施策は求められていないかもしれません。今やっている業務を効率的に行う施策や、リスクの低い施策が求められている可能性があります。
逆に、これから大きく成長させるフェーズの事業の場合は、チャレンジしやすい可能性が高いです。一般的に、市場の成長率が高く、シェアが低い象限を問題児と呼びますが、私がビジネススクールで学んだ際には、講師からこの象限は問題児ではなくルーキーと呼ぶ方がわかりやすいと学びました。つまり、事業としては新人なので、色んなことにめげずにチャレンジして安定感のあるベテランへと成長させていく段階です。
冒頭の、新しいことが通らないと悩む受講生の話に戻ると、いきなり転職するのではなく、まずは自社の事業を整理して、今いる部署はチャレンジしやすい部署かどうか?そうでない場合、ルーキーにあたる事業はあるか?を考えてみてはどうかと話をしたところ、再度自社分析から始めると前向きにおっしゃっていました

まとめ

今回は自分のキャリアを考える際に、まずは自部門の位置付けを考える、その際にプロダクトポートフォリオというフレームワークに当てはめてみるとお伝えしました。
新しいことができないという自分の一人称の視点から、ぐっと視座を高めて、客観的に自分の位置づけを見つめる営みを行いました。この視座の高低を自由に行き来できる人ほど、優秀なビジネスパーソンのように感じます。この訓練を若いうちから積んでおくと、上司やさらにその上の上司の言動の背景を理解しやすくなります。
今の仕事に満足しているという方も、一度自部門の位置付けを整理してみてください。新しい気づきがあるはずです。

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