今日は、精神的安全を守るために意識したいことについて考えます。
こころの病気で病院に通院や入院をしている人たちは、国内で2017年時点で約420万人となり、年々増え続けています。また、こちらを金額面に落とし込んだ調査によりますと、約3兆円もの社会的損失があるとも言われています。あなたの周りにも、メンタルダウンされた方やその予兆がある方もいらっしゃるかもしれません。
私自身、仕事やプライベートで色んなご相談を受ける機会があるのですが、そんな経験から、精神的な安定を保つために意識していただきたいことがあります。それは「逃げ道を作ること」です。決してネガティブな意味ではなく、前向きに逃げ道を複数作っておくと良いと思います。言い換えると依存先を複数持つという意味です。
具体的には、
- 仕事であれば、いつでも他の部署に移ることができる、もしくは転職することができる状態
- 友人関係であれば、同じ職場のメンバーだけでなく、学生時代の友人や、職場以外のコミュニティがある状態
- 家族関係であれば、日常で接点のあるパートナーだけでなく、兄弟や両親、祖父母、親戚といった人と、コミュニケーションができる状態
- 趣味であれば、ランニングやジムなど運動に関する趣味だけでなく、映画や読書・ボードゲームなどインドアのものにも広げる状態
を言います。
行動しなくてもOK
ここで重要なことは、実際に行動するわけではなく、他にも道があると自分が感じることができる状態を作ることです。
例えば、仕事で嫌なことがあった時に、自分はこの会社でしかやっていけないから耐えるしかないと思うことと、いざとなったら辞めても問題はないと思うこととでは、精神的な負担が大きく違います。
事前準備も大事
ただし、いざとなったらこっちの道があると感じるためには、意識して努力の方向性を決めることが必要です。
仕事を頑張り続けたお父さんが、定年退職した後に、家で偉そうにしていて奥さんや子どもから煙たがられるという話を聞きます。ポイントカードは決まった場面でしか使えないように、お父さんは、職場で頑張って信頼ポイントを蓄積しましたが、そのポイントは職場以外では活用できないわけです。
もちろん目の前の仕事に一生懸命になるべきタイミングもあると思いますが、一歩目を引いて、自分はどれくらい逃げ道があるかを冷静に見極めることも重要です。もし、逃げ道がほとんどない、今の仕事環境や家庭環境がうまくいかないと我慢する以外に道がないという場合は、新たな道を創る努力をするタイミングです。何か能力開発を始める、久しぶりの友人に連絡をするなど、人によって選択肢は異なると思いますが、何かしらのアクションはしても良いと思います。私が勤務するビジネススクールで学ぶ人も、ポータブルスキルと幅広い人脈を手に入れたことで、これまで我慢していた価値観から解放された方が少なくありません。
自分の身を守ることもそうですが、特にリーダーの立場の人は部下の身も一緒に守ってほしいなと思います。逃げ道がない状態で、しんどい場面が続くと心身ともに体調を崩してしまいます。部下を思って、色々とフィードバックをする場面もあると思いますが、今の仕事以外に、部下の逃げ道はあるか?こんな視点は持ってほしいです。
まとめ
前向きに逃げ道を作る、今日はそんなことを考えました。私も前職で毎月100時間以上残業をして精神的にも追い詰められていた時がありました。しかし、一度転職をし、その後もMBAを勉強する、その過程で仲間を作ることで「最悪いきなりクビになってもまぁなとかなるか」と楽観的に物事をとらえることができるようになりました。そうなると、今の会社でも評価ではなく、本当にやるべきことに力を注ぎやすくなります。あなたらしい逃げ道が見つかる・構築できることを願っています。