最近話題のChatGPTなど生成AIの活用方法について詳しく記載している本をご紹介します。
伊藤穰一さんの最新作『AI DRIVEN AIで進化する人類の働き方』です。
著者の伊藤さんは米国MITにてメディアラボ所長を務め、デジタルアーキテクト、ベンチャーキャピタリスト、起業家として活動している、いわゆるテクノロジーの最先端に常にいるすごい人です。(前作の『テクノロジーが予測する未来』もおすすめです。)
そんな伊藤さんが生成AIは何ができて、どう活用すると効果的で、なおかつ今後我々は何を意識して活動すべきかを丁寧に描いた本なので、まだChatGPTを触ったことがない初心者にも非常に分かりやすく丁寧に教えてくれる書籍です。
生成AIとこれまでのGoogle検索の違いとは?
色々世間を騒がせているChatGPTですが、結局今までと何が違うの?について本書では以下のように解説しています。
- これまで ”選択肢”の提示
- ChatGPT ”案”の提示
Google検索を誰しも利用したことがあると思いますが、基本的に検索した後は自分で各サイトを覗きに行って、その中から最適なものを見つけて活用するといった使い方になっていました。
ChatGPTは「あなたが探していたものはこれですか?」を掲示をして、少し違う場合に追加で指示をして回答を洗練させていくスタイルを取ります。
Google検索で色々キーワードを変えて検索しても欲しい情報にたどり着かなかったことは誰しもがあると思いますが、ChatGPTはこれまでのやりとりを記憶した状態で回答がブラッシュアップされていくのでより自分の欲しい情報が手に入りやすくなります。
ChatGPTの登場によって、Googleが社内で緊急事態宣言(Googleがつぶされる!!!)を出したという噂ですが、人間の検索行動自体がなくなるかもしれないという、確かにGoogleにとっては恐ろしい変化が起ころうとしていることが分かります。
これからのプロフェッショナルとは?
生成AIが案を出してくれるので、ブレスト、企画、会議など色んな作業が簡略化できます。
働き方としては、0→1の領域が減り、提案させて練り上げるスタイルを確立していくことで非常に効率的に仕事を進めることができるようになります。
ただし、生成AIは必ずしも正しい答えをくれません。
嘘・でたらめを平気な顔(あたかも本当かのような文体)でいってきます。(ChatGPTに書かせた過去の判例が嘘まみれと発覚して大変なことになった弁護士のニュースもあるようです。)
これらも踏まえて今後のプロフェッショナルに必要な要素は以下の3つになると本書は指摘しています。
- ファクトチェックができる
- ある分野を習熟している
- 変わったことを発想できる
真贋の区別ができなければやはりChatGPTを使いこなせません。
使う領域をファクトチェックが不要な領域(ブレストなど)で活用すると良いかもしれませんね。
個人的にこの3つを鍛えるために以下を今後意識的に実施する予定です。
- 教養本を読む(自分の軸を作ってChatGPTの提案を右往左往せずに判断できるようなセンスを磨く)
- 面白そうと思った企画を無駄話しながら作る
- ひたすら生成AIを使ってみる
どう指示するとうまく動いてくれるのか?
ただ、中にはChatGPTにどんな指示をすればうまく動いてくれるのか感覚をつかめない人もいると思います。
日本語で質問をすれば会話調でいい感じに回答してくれるので普通の話し言葉のように対話してしまいますが、相手は感情を持たない機械です。
相手の言語に合わせてプロンプト(コンピューターへの指示)を意識して指示をする必要があります。
本書では以下のポイントが紹介されていました。
【テキスト生成AI】
- 誰になって欲しいか:例 作家になってください
- 口調:例 丁寧に、小学4年生向けに
- 詳細度:例 簡潔に、詳しく ※〇〇新聞のようにとかもあり
【画像生成AI】
- 写真or絵
- 何を描きたいか:例 赤い帽子を被った少女
- どんなデティールで:例 廃墟を背景にして
- 特定の画風はあるか:例 モネ風で
最初に記載した内容の優先度が高いようなので、記載する順番なども考慮しながら指示をすると良いようです。
このあたりは自分で手を動かしてみて感覚をつかむのがベストだと思います。
「生成させたものはファクトチェックすることを忘れずに」はデフォルトの動作として頭に刻み込む必要があります。
ChatGPT、Bing(ChatGPT4.0搭載)はこれまでも活用していましたが、本書で紹介されていたNotionAI(要約、資料作成など)やStableDiffusion(画像生成)は使ったことがないので使ってみようと思います。
AI時代、色々楽しみにながら最新テクノロジーに触れられると良いですね。